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うっかり狐は計算高し




妖狐と呼ばれる我らはそれなりに多く存在している。
そして化け狸もだ。
人間社会にもそれなりに馴染んでいるものも多く、
きちんと探せば実は割と身近にいたりもするものなのだ。
そして人間社会に馴染むためにも必要なものというものはやはり存在しているのだ。



「おーい、総次郎くん」

「やあやあ、浩二さんお久しぶりですなあ」

「そうだね。俺は昨日まで出張だったからね」

「そいつは大変でしたね。どちらのほうに行ってらしたんで?」

「ちょいと東北のほうまでね。そんな話はおいといてこれからどうだい?一杯付き合わないかい?奢るよ?」

「こんな日の高いうちからとても魅力的なお誘いではあると思うのだが……ちょっと別口で用事がありましてね」

「ありゃりゃ、それは残念。もしかして白ちゃんかい?」

「あっはっは、そうなんですよ。
 彼女はもしかして僕を便利屋か小間使いか何かだと勘違いしてるんじゃないかと思えてくるよ」

「いいねえ。それもひとえに愛だねえ……」

「まーた他人事だからとからかってくれちゃって……というわけですみませんね。また次の機会にでも」

「あいよ。楽しみに待ってるよ」



彼は人間さん。浩二さんである。
何かと前から縁があり、仲良くしてくれている。
なんでも同じ次男坊だから波長が合うのだとかなんとか……まあどこまでが本心かはわからないが。

今更になるのではあるが、僕の名前は総次郎である。
兄が総太郎。妹が京だ。
もっとも、妖怪世界でそう呼ばれることは少ないのではあるが、
人間さんたちに呼ばれることはしょっちゅうである。

元々、僕ら妖狐の世界では名前を持っている者というのは少ない部類だった。
本来妖狐の世界での名前というものは『格』なのだ。
我らが偉大な父上、山城一太郎は妖狐界では名の知れた大人物なのである。
よって僕ら兄妹もそれなりの『格』を持っているとされ生まれた時から名づけられていた。

ある程度の『格』があるものが名前を付けられるようになっている。
まあそれも古い風習であり、多くの妖狐たちは名前を持っているのだが。
持っていないものと言えば、一部の古株の妖狐たちが辞退しているだけなのだ。

もっとも古株なだけあり、十分なだけの名声は得ているのではあるが……。

我が母上も名前を持っていないらしい。
小さい頃にその理由を尋ねたら、


「だって『一太郎の奥さん』と呼ばれるのが嬉しいんですもの」


と思いっきりのろけられてしまった。

それでは人間社会に紛れるときに不便であろうと思っていたら、
何故かそこでも『一太郎の奥さん』で母上の名は通っていた。
一体母上は何者なのであろうか。疑問は尽きぬばかりである。


近年、世情の変化から妖狐も狸も人間の世界に紛れることが多くなった。
その際にやはり名前というものは便利である。
というより名前がなくてはやっていけないのだ。

そして名前には力が宿る。
つけられた名前を呼ばれることにより、人間変化をより強固にすることもできるのだ。
人と積極的に関わりだした我ら新世代の狐によって名前というのは人間が思っている以上に大事なのである。

よって僕らは自分の名を大事にする。
そして他人の名前も大事なものだと考えるのだ。


「あ、やっときた。もう、遅いよ」

「遅くなってごめんね。白ちゃん」

「は、白ちゃんって……!」

「あ」


しまったと思った時にはすでに遅かった。
周りの妖狐族が一様ににやにやとこちらを見ている。
「早く結婚しちまえよー」とはやし立てる者もいる始末。
目の前の白面ちゃんに至っては顔を真っ赤にしてうつむいている。


「君はその呼び方しないでって言ったでしょー!馬鹿総次郎ー!!」

「ごめん!ごめんってば!っていうか君こそ僕の名前を呼んでるじゃないか!」

「私はいいの!」

「何その横暴!?」


我ら妖狐同士で名前を呼び合うというのはとても重要なことであったりする。
それは親愛の情であり、自分から相手への大事だという気持ちを表す行為にあたるのだ。
告白をしているようなものだとも言える。
つまり呼ぶ方も呼ばれる方も恥ずかしいのだ。特に他人の目があるところとなると。
よって僕らは本名ではなく二人称・三人称、あだ名などで呼び合うことのほうが多い。

僕は未だに白面ちゃんを名前で呼ぶことを許してもらっていない。
いつか許してもらえるのだろうか?

白い顔を真っ赤に染めた白面ちゃんを見て、


『そういえば……もしかすると母上が名前がないと言っているのは嘘なのかもしれないなあ』


などと考えつつ、白面ちゃんの機嫌を直すのに労力を費やす僕なのであった。

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