Pollyanna

適当に書き連ねたものをまとめて置く場所
TOPスポンサー広告 ≫ 亀が語りき思い出話は国宝級?TOP未分類 ≫ 亀が語りき思い出話は国宝級?

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | Comments(-) | Trackbacks(-)

亀が語りき思い出話は国宝級?




歴史というものはあくまで勝者が作り上げるものであり、
それに後世の人間が後から理由づけしていくものである。

何が言いたいかというと、真実というものはその実あまり伝えられないものなのである。



僕には二人の先生がいる。
もっとも、当たり前ではあるのだが人間ではないので、
『二人』と言っていいのかどうかは定かではないのだが。

一人は妖狐の必須技能である『化け術』の先生、玉藻前先生だ。
僕も白面ちゃんも妖狐としてひよっ子の頃に基礎技能を玉藻前先生から習った。

本来はその一族独特の変化や、術というものが存在するので、
父親や母親から習うのが風習ではあるのだが、我が家の父上が、

『あまり一族一族とこだわっていては多くのことができなくなる。
 よってお前はあのじゃじゃ馬のところで基礎を学んでくるのが良かろう』

とのたまったのをきっかけに、僕は玉藻前先生から学んでいるのだ。
未だに一族の変化を教えてもらえてないのには納得がいっていない。

話を元に戻そう。
一人目の先生は玉藻前先生。つまり白面ちゃんのお母上である。
では二人目の先生はというと……、


「そうじゃのう、今回は歴史について教えようかのう」

「先生、一つお聞きしたいことがあります」

「なんじゃ?」

「かの浦島太郎を竜宮城へ連れて行ったというのが先生を伺ったのですが本当でしょうか」

「いんや、それはワシではなくワシの孫じゃな」

「ええ!?お孫さんってこの間お会いした?」

「そうじゃ、あれはあやつが300歳ぐらいの時でのう……まだまだやんちゃじゃった」

「そうだったんですかー……。ちなみにそれは今から何年ぐらい前のお話で?」

「確か……1400年ほど前の話じゃな。
 よしちょうど良かろう、その時代の話でもするかの。
 あれは今では人間たちに古墳時代と呼ばれておる頃じゃ……」


とまあこのような調子で正しくその目で「見てきた」ことを二人目の先生から学んでいた。
何せ先生は齢4000を超える仙亀なのだから。

僕も白面ちゃんも亀先生に色々なことを教わった。
それこそまず人間の言葉であり、歴史であり、生活であった。
変化した際になんら不自由のないようにという亀先生の心遣いだった。

亀先生には生徒がとても多い。
僕の父上もそうだったと聞くし、玉藻前先生もそうだったと聞く。
何せ4000歳なのだ。
何らかの方法で調べるより亀先生に尋ねるのが早いことのほうが多い。

亀の甲より年の功という言葉があるが、
両方を兼ね備えた亀先生は完璧な存在なのではなかろうかなどと、
僕らの間での共通認識になっている。


「……とまあ、平安時代にあったことと言えばこのぐらいじゃな。
 何か質問はあるか?」

「はい、先生」

「なんじゃ?白面」

「あの、うちの母上のことなんですが、その頃殺生石にされたと聞いたのですが……」

「なんじゃ、あやつから聞いておらんのか」

「はい、話したがらないんです……」

「思い出したくないじゃろうからそれも仕方なかろうか……そうじゃな話してやろう」

「ありがとうございます!」

「あー、二人とも人間の間で語り継がれておるあやつの伝説については知っておるな?」

「はい、なんでも母上が悪さをして人間にお仕置きされたとかなんとか……」

「でもあの玉藻前先生がそんなことするかねえ。
 こういっちゃ白面ちゃんに悪い気もするけどちょっとおっちょこちょいなところあるし……」

「我が母ながらそれは認めざるを得ないね……」

「そうじゃろう、そうじゃろう。大半が嘘じゃからな」

「嘘!?」「そんな!」

「そうとも、そもそもが濡れ衣だったのじゃよ。
 鳥羽上皇をあまり好ましく思って無い者も多くてな、毒殺しようと考えるものも多かったのじゃ。
 当時はあやつは藻女と呼ばれておってな。人間の姿に化けて宮に仕えておった。
 あやつもお主と同じように人間のことが好きでなあ……」

「あの先生にもそんな頃が……」

「そしてあやつもおっちょこちょいなりにも一生懸命宮仕えをしておったのじゃ。
 そしてあくる日、鳥羽上皇の目に留まることがあったのじゃ。
 そしてあやつは大層気に入られてのう……」

「それで母上は契りを結んだと?」

「いや、結んでおらんよ」

「え?」

「人間の間で語り継がれている話の一つでは契りを結んだということになっておるが、
 そのような事実は一切存在せんよ。
 あやつはあくまで自分は妖狐という存在だ、ということを理解して負ったからな」

「あ……」

「確かに、冷静に考えれば……」

「じゃろう?そのこともおそらく鳥羽上皇の怒りに触れておったのじゃろうな。
 毒殺未遂の疑いが真っ先にかけられたのがあやつじゃった……。
 そこからはお主らも知っての通りよ。
 晴明によって正体を暴かれ、その他もろもろの濡れ衣まで着せられ、そして……」

「封印されてしまった、と……」

「そうじゃ。後に話がどんどん膨れ上がっていってな。
 殺されただの、毒を放っただのと……」

「とんだとばっちりじゃありせんか!」

「じゃからお主らも気を付けるのじゃぞ。
 人間と仲良くするな、とは言わん。
 じゃが、くれぐれも気をつけろ。
 ワシはただの亀じゃ助けてやろうにもできやせん」

「わかりました」

「心得ておきます」

「うむ。それでは今日のところはこのへんにしておこうかのう」

「ありがとうございました」「またお願いします」

「うむ、それではな」



この時、去っていく亀先生の姿がとても寂しそうに見えた。
亀先生は永く生きてきたが、あくまで亀だ。
きっと多くの者を助けられず歯がゆい思いをしてきたのだろう、と僕は勝手に考える。


伝説・神話というものは劇的であるほど人々の間で語り継がれるという。
千年経とうが色褪せぬ白面ちゃんのお母上の伝説は、
それほど長く人々の心をとらえて離さなかったのかもしれない。

それでも……


「それでも大好きな人間の多くから疎まれてしまうような伝説が残ってしまったのは
 どんな気持ちだったんだろうなあ……」


他人事ながらそんなことを考えてしまっていた。


古来から歴史というものは勝者が作るものである。

そこには敗者の理屈・感情などは書かれておらず、
ひたすら勝者の栄光が並べ立てられる。

後世の者が勝手に推察し、予想を立てたところで、
そんなものは真実とは限らない。

結局真実というものは当時を生きてきたものにしかわからないものなのである。

スポンサーサイト

Comment













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL

プロフィール

ゆき

Author:ゆき
ここはSSをまとめておいているだけの場所です。
私の個人的なブログはリンクにはってあります。

最近のコメント
FC2カウンター
最近のトラックバック
リンク先をPOPUP表示
POWERED
Design by おじば
Powered by FCブログ
  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。