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素直じゃない君



僕はしがない一匹の狐である。
尻尾も一本であるし、毛も真っ白という訳ではない。
ただのしがない一匹の狐である。

その気になれば、尾の一本や二本なぞ簡単に増やせるし、
白面にだってなれるのではあるが、
わざわざそんなことをして無暗に騒ぎを起こそうとは思わない。

それに増やしたところで所詮は偽物である。
本物の大妖狐の真似をしたところでむなしいだけだ。

おっと噂をすればなんとやら、
かの大妖狐さんのご息女が歩いているではないか。


「やあやあ白面さん。どうやらお元気そうですな」

「なんだよその物言いは。いつも通りに声をかけてきなよ」

「いやなに、ちょっとばかし君のお母さんのことを考えていてね」

「あーあー聞きたくなーい。
 さんざん周りからお前も母親のように立派になれだのと言われ続けているんだから、
 君と一緒の時ぐらいはお母さんの話はよしてほしいな」

「そりゃあ悪いことをしたね。ところで何をしていたんだい?」

「こんなにいい天気だろう?せっかくだし油揚げでも買いに行こうかとね」

「油揚げなら君の家の近所にも売っているじゃないか。それなのにずいぶん遠くまできたね?」

「それが聞いておくれよ。この間とってもおいしい油揚げ売っている店を見つけちゃってね。
 そこの油揚げを食べてからそりゃもう病み付きになってしまったんだよ」

「そうかいそうかい……確かに僕も油揚げは嫌いじゃないが、どうしてそうも君は狐らしいのかね」

「そんな君はどうも最近人間かぶれが酷くなっているね。もう少し狐らしくしたらどうだい」

「まったく……また君はそんなことを言う。
 そうだな……僕と君の子供でもできればちょうどいい狐でもできそうだね」

「ここここ子供だなんて!なんてことを言うんだ!それじゃあまるで……」

「まるで?」

「なんでもない!」



そう彼女は大声を上げると白い顔を真っ赤にし、5本の尻尾を揺らしながら去っていってしまった。
まったく彼女をからかうのは楽しいものだ。

言っておくが僕は鈍感というわけではない。
もちろん彼女の気持ちに気づいているし、僕も彼女のことが好きである。

しかし、二年前の冬……



『気づいていると思うが、僕は君のことが好きだ。君は僕のことをどう思っている?』

『すすすすす好きって!?わわわ私は……』

『私は?』

『今度返事をするから!絶対するから!だから今日は勘弁してぇ~!』



そう言って彼女はその日帰ったっきりまだ返事をしてくれていない。
だからこそこの程度のからかいぐらいは許してもらわなければ納得もいかないものだ。

かといってからかったままにしておくと後が怖いので、また今度何かしらのフォローをしておかなければならない。


しかし彼女は気づいているのだろうか。
あの態度では僕の告白に返事をしたようなものだということに。


山に沈む夕日を見ながら僕は今日もそんなことを考えていた。

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