Pollyanna

適当に書き連ねたものをまとめて置く場所
TOPスポンサー広告 ≫ 流行ものには敏感なのですTOP未分類 ≫ 流行ものには敏感なのです

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | Comments(-) | Trackbacks(-)

流行ものには敏感なのです




我ら妖狐族の多くは京都の地を安住の地として定めている。
京都という街では古くからのものが多く残っており、
服装もそれに合わせてか着物であったり甚平であるような人も他に比べれば多くいると言えるだろう。
だからこそ未だに変化する姿は甚平姿だったり着物姿だったりする者も少なくない。

とは言え、平成の世となった現在、
妖狐が皆、着物姿になろうものなら街には着物の人物が異様に増えるというものだ。

つまり何が言いたいかというと、妖狐もファッションには多少敏感なのである。


僕ら妖狐は服を買わない。
ならば服はどうしているのか。
人間に化けるときに色々変えているのだ。

とはいえ見たこともないものに化けるというのはとても難しい。
それが甚平や着物など想像しやすい服に化ける狐が多い一因でもある。
じゃあ普通の姿をしている狐はどうしているのかと言うと……

ウィンドウショッピングをしているのである。


「あー寒い寒い……」


冬も真っ盛りというこの時期、僕は白面ちゃんに街に行くからついて来いと連れ出されてしまった。
何もこんな時期に新しい服を見繕いに行かなくても……とぶちぶち愚痴ってたら、

『たまには人の役に立つことをしなさい!』

と怒られてしまった。
白面ちゃんは人じゃなくて狐じゃないか……、
とも思ったのだがこれ以上余計なことを言うと後が怖いので黙っておくことにしたのだ。


「お待たせ」

「お待たせってなあ……この寒空の中で長いこと待たされたら風邪をひいてしまうってもんだよ」

「なによう。いいじゃないか三十分ぐらい!女の子は色々準備が必要なんだよ!」

「女の子って……そもそも僕らは――、いやなんでもない」


寒さに耐えながらも待っていた僕に何のねぎらいもなく出てきた彼女に文句の一つでも言ってやろうと、
マフラーに埋めていた顔を上げ、振り向いたときに僕は言葉を紡ぐのを忘れてしまった。

恐らく自惚れでもなんでもなく、彼女が僕と一緒に出掛けるために考えたのであろう服装が、
とても似合っていて、見惚れてしまったのだ。

普段は恥ずかしがってあまり履くことのないスカートまで履いている。
黒のタイツを履いてはいるが寒いだろうに……。

でも眼福なのでとりあえず目に焼き付けておいたというのは言うまでもないことであろう。


「? 変なの。まあいいよ。さーて、今日はとことん付き合ってもらうよ!」

「はいはい……どこへなりともお供しますよ。お嬢様」

「それじゃあまずは――」


順番に白面ちゃんがお気に入りの店を回っていく。
僕はあくまで付き添いだ。でしゃばることはしない。
彼女が楽しそうに語る様々なことに耳を傾けているだけで十分なのだ。


「――それで、その時……ねえ、ちゃんと私の話を聞いてるの?」

「ああ、もちろん聞いているとも。それですっころんだ狸がどうしたって?」

「えっと、そのあと恥ずかしかったのか周りをキョロキョロ見回した時に追っ手に気付いたらしくて、
 慌てて狸の置物に化けてたんだよ。あはは。おかしいよね。
 突然街中に狸の置物が現れたら誰だって気づいちゃうよね」

「確かにそうだ。それでどうなったんだい?」

「案の定、見つかっちゃってその時は連れて行かれてたよ。
 なんでもそのあと親にこっぴどく叱られたとかなんとか」

「無理からぬ話だなあ。ところで服のほうはもういいのかい?」

「うん。気になる洋服はあらかた確認しちゃったかな。
 流石にいっぱい見ちゃってもそんなに覚えていられないしね」

「じゃあどうする?今日は寒いしもう帰るかい?」

「うーん……久々に一緒に街に来たんだしもう少し回っていこうよ」

「そうかい。それではお嬢様、よろしければお手をこちらに」


少しキザだったかな、と思いつつ腰を折りながら手を差し出してみると、
彼女のほうも照れながら僕の手を握ってくれた。
その手は暖かくて、今日は寒いはずなのに僕の心まで温かくなって、
そのあとはなんだか不思議に時が短く感じてしまった。








「――で、次の日にはこれですか」

「うう……ごめん」


次の日、僕は白面ちゃんの家に行っていた。
当の白面ちゃんは絶賛インフルエンザ発病中。


「昨日ので疲れちゃったのかね」

「そうかもしれない……」

「まったく、はしゃぐのもいいけど体調管理もしっかりしようね?」

「うん……わかってるよ……」

「それじゃあ僕、タオル取り替えてくるから」

「うん、ありがとう……」


昨日は一日中、上機嫌ではしゃぎっぱなしだったからまさかとは思ったけれど……。
幸い僕のほうにはなんともなかったから良いものの、
白面ちゃんを体調をしっかりと確認してなかったのも僕の悪い点ではあるのだろう。


「ファッションにも病気にも……流行りものには敏感ってことなのかねえ……」


そんなしょうもない愚痴をただ一人吐き捨てる僕なのだった。

スポンサーサイト

Comment













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL

プロフィール

ゆき

Author:ゆき
ここはSSをまとめておいているだけの場所です。
私の個人的なブログはリンクにはってあります。

最近のコメント
FC2カウンター
最近のトラックバック
リンク先をPOPUP表示
POWERED
Design by おじば
Powered by FCブログ
  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。