Pollyanna

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無題


世の中には天才と呼ばれる人間がそれなりに存在する。
それなりと評したのはあくまで配慮のためである。
実際天才という言葉は安売りされているのが現状だ。
何故私がそう評するのかというと、
真の天才というのは比べるのも馬鹿馬鹿しくなるほど圧倒的な存在なのだからである。


私はとある港町に生まれた。
古くからとある事情からやむにやまれぬ者たちが集まってできた港町だ。

一人は、余りの強大な力から周囲が恐れ里から追放されてしまった先祖返りの陰陽師。
一人は、その悪魔的なまでの技術から自らの身の安全のために当主が里子に出した稀代の天才忍術使い。
一人は、高天原に戻ることができなくなってしまった神使。

そんな一般人ならば嘘だと一蹴してしまうであろう一癖も二癖もある者たちが集い、
作り上げてきた港町に私はなんの力も持たぬ一般人として生まれた。

私の父は先祖返りの陰陽師であるし、私の母は稀代の天才忍術使いであるのだが、
私自身はなんの力も持たない。

というよりかは父と母がその自らの出生を鑑みたのかは知らないが、
私は何も知らないまま蝶よ花よと育てられた結果、何もできない普通の人間として育ったのだ。

ではなぜこんなことを知っているのかだって?
それは私のドジな幼馴染がお節介にも教えてくれたのである。

いわく、彼女の最初のドジはお役目でもないのに勘違いして葦原中国であるこの私たちの国へ降臨したのはいいものの、
高天原に帰る方法を知らないかったことらしい。
自らの担当の稲荷神社の神主にどこに行けばよいかと聞いたところ、
我が故郷であるこの港町を紹介されたとのことらしい。
なんでもこの町についたところちょうど私が生まれたとかなんとからしく、
それ以来甲斐甲斐しく私の世話をしてくれているとのこと。
道理で彼女の見た目が幼い頃から一切変わらないのである。

そのことを知ったのは7歳の時だ。
ついでのその時、自らの両親の仕事も知った。
なんでもうちの父は定期的に各地の主様の様子を見に行ってるだとか、
大きな地震が起きた時は平将門公のご機嫌伺いに行ってるだとか、
母のほうはその稀代の天才とまで呼ばれた忍術を用いて有事の際は重要人物のSPとして働いているだとか、
なんだか二人とも時々出張でいないよなぁと思ったらそんなことをしていたのかと幼心に思ったものである。

そんな話を聞けばいつか自分も、と思ってしまうのは仕方ないことであろう。
しかし、私はいくら努力したところで、陰陽術も使えなければ忍術も使えない。
本来は父と母に聞くべきなのであろうが、何故か二人とも必死で私に隠そうとしている。隠せていないが。
そんなわけで自分にできる範囲であれこれ試してみたはいいものの結局何もできないままなのだ。


「あーあ……」


そんなこんなで私は現実を悟ってしまっている。
自分はなんの力もない。主人公にはなれないのだと。


「どうしたの?」


声をかけてきたのは白髪にすらっとしたモデル体型、そしてその病的なまでに白い肌の女性。
彼女が件の幼馴染だ。
何でも元々は白蛇だとかなんとか。


「いや、なんでもないよ。ちょっと自分の不甲斐なさに落ち込んでただけ」

「そうなの?んーでも不甲斐なくなんて……ないと思うけど」


彼女はいつも私を励ましてくれる。
しかし、私にないものを持っている彼女に言われても私としては少々憎らしい。
もちろん彼女はそんなつもりはないのだし、私もそれは理解しているので表に出すことはないのだが。


「そうでもないよ……あー親が天才でも子はだめなことってあるんだなあ。
 これじゃ鳶が鷹を生むじゃなくて鷹が鳶を生んじゃってるよ」

「そんなことないって……」


そういう彼女の顔は少し呆れたように見えたのは私だけだったのだろうか。


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